一般的に思われている占いとは全然違うものなのだと思う〜
高校生の頃、私は沢山の占い師さんが並んで座っている有名な場所へ行き、
その当時の全おこずかいを使って短時間の間に片っ端から占ってもらったことがあった。
手相、四柱推命、易、タロット…。
「占い」というモノは本当に当たるものなのか、
異なる種類の占いでも同じ結果が出るのか、
相談者の外見に左右されない本質的なモノなのか。
私はちょっとした悪戯心を加えて、各占い師さんの前で違う性格を演じながら占ってもらった。
明るい性格バージョン、暗い性格バージョン、悩みを深く抱えていそうな演技、不良っぽい演技。
話す内容には決して嘘はつかないけれど、いろんな雰囲気を身にまとって鑑定を受けてみた。
結果、私へのアドバイスはバラバラで、
占いというモノは相談者の外見のイメージによって変化するものだと感じた。
それ以降、占いに対する信用は持てないまま興味も失っていた。
さて、数年前になるがある時、
恩師である宇宙物理学者・佐治晴夫先生を特集したテレビ番組のプロジェクトに関わった時に、
HAYABUSAが目指した星「イトカワ」の語源になったロケット工学の父・糸川英夫博士が
ロケットの軌道計算や天文学から、美しい音の鳴るバイオリンの開発をされたこと、
著書の一冊である細密占星術、その中には、ホロスコープは科学であるとのお言葉、
コンピュータで惑星の位置を計算した天文歴も掲載されていらっしゃったりと、
この時のプロジェクトの関わりをきっかけに、
私の頭の中に「ホロスコープ」というキーワードが占いの範疇を超えて、
特別な響きを残すことになった。
そんな折、私は佐治先生を通して、ひとりの女性とのご縁を頂いた。
それが秋葉貴子さんだった。
美しく礼儀正しい佇まいの女性。
出会った日、私たちは時間を忘れて半日ほど語り合ってしまった。
そして、後日、あの「ホロスコープ」を読む人だと知った。
しかも、「前世のホロスコープ」との言葉が、彼女の発せられる声を通して、聴こえてもきた。
丁度、私は、仕事上の中核スタッフを失ったばかりで、
新たな転換を余儀なくされる時期でもあった。
運命的に導かれるように、
私は生まれて初めて秋葉さんに「ホロスコープ」を読み解いて頂くことになった。
彼女のセッションは多岐に渡り、私が生まれた時の星の位置から、
驚くほど明快に奥深く私の性質を読み当て、
その本来性、外向性の奥に潜むものの種さえ見逃さなかった。
これは、セッション経験をなさってみないと感じえない感覚かもしれない。
私は、90分を超えるセッションの中で何度も驚嘆の声をあげたと思う。
その中で、一番私の心をハッとさせ、感嘆させたのは、
以前、彼女の口から発っせられた言葉、前世のホロスコープ。
私は、自分の仕事、作品、プロジェクト、その全てを、
お客さまにもオーディエンスにも、さらにはスタッフにも、
その思いや内容を100%全部伝えたい、理解してほしいと思っているタイプなので、
時間も状況の概念も超えて、目的のためには突っ走るところがある。
(もちろん、こういう分析はセッションの中で明瞭に把握できてゆくものだったが・・・。)
また、自分が使命感を持っている部分においても、
万民に伝えようと考え過ぎてしまうのか、深い行き詰まりと疲労を感じる経験が多くあった。
彼女の言葉によると、以前の私の環境下では、私の命を100% 聞いてくれる状況があったのだそうだ。
大司祭か暴君か・・・わからないけれど、私が言えば周囲はそれを全てわかって聞いてくれる状況。
だから、そういう環境に慣れている、慣れていたので、
伝わらない人がいると、さらに情熱を込めて理解してもらえるまで伝えようとしてしまい、
それができなかった時の喪失感を埋めるために、またしゃかりきになっているのではないかと。
また、宗教的アニミズム的なこと、
目に見えないものに対することに力が発揮できるとのことで、それは非常に腑に落ちた。
私は目に見える剱舞・歌舞という技芸が、
目に見えない祈りや宗教性・信仰心と共にあるべきものであると感じているし、
さらに、「進化」させることが大切だと思っている。
私の目指す技芸は、「人と人、人と自然界の調和を知るための道」であり、
これが古代と未来の人の道を繋ぐものでありたいと望んでいる。
しかし、その思いを人として理解して下さった上で、
秋葉さんはこう私にアドバイスした。
「(今世では)万民に伝えようとされなくて、いいように観じます。
コアな人たちへ向けて、きちんと伝えたらいいのではないでしょうか。
(前世では)皆がわかってくれたから、
そうなってくれないことが理解しがたいかも知れません。
でも、それは既に(前世で)経験してきたことなのですから、
(今世では)隠れ家のような、限られた場所で、しかるべき人だけに伝えるような…、
神谷さんが本当に伝えねばならないと思う本質的なことだけを、
伝えるべき人に伝えたら、よいのではないでしょうか。」
私が、このアドバイスによって、どんなに心が安らいだかわからない。
迷いは全て吹き飛び、
私は心の奥底でこうだったらいいなと思っていたことを現在も推し進めている。
「それで、いいんだ!」
と思える、勇気が湧き上がる感覚。
彼女のセッションはとても細やかで、理論的だと言える。
その後、私の噂を聞きつけて、私の家族も全員、ホロスコープをみて頂いた。
きっと、本来の占星術というのは、一般的に思われている占いとは全然違うものなのだと思う。
宇宙に広大に広がる星々。
私たちが生まれ来る時、その星が語っていた印は、その人が生きる地図になっている。
それを世界中の先人たちは知っていて、数千年も前から王さまや皇帝も生きる指針にしてきた。
そういう学問としての本当の占星術に出会っておくことは、私たちにとって幸運だと思う。
神谷美保子
(桜月流美剱道 宗家、 株式会社 桜がさね 代表、 神職 )